第1章 前編 時の彼女と死の外科医
(ってヤバイヤバイ始まる!)
ユーリはヴェルゴが心臓を掴んでるのが視界に入り思わずワープを唱えてヴェルゴの背後に回った。
(あぁぁぁ、後に引けなくなった。もういいや!えっと私が知った能力はタイムとワープだから)
ユーリはヴェルゴの肩に手を当てタイムを唱えると、地面に着地した。
そして水中からいきなり空気中に出たことによる浮力の違いからか、それとも足元が濡れてた為か、思いっきり滑って前方に転倒した。
「………はっ?女?」
何やら困惑してる声が前方から聞こえたが、ユーリの脳内は今はそれどころではなかった。
(いやいやいや!こんな地上最悪な登場の仕方があるのか!?ふざけたヒーロー漫画でももう少しまともな登場の仕方するだろ!?もうだめだ死にたい)
ユーリはフラフラと起き上がると、とりあえず目的を果たせなければと思い、ローに心臓を返そうとした。
しかしこれが少し握ろうとしてる時に時を止めた為か、中々外れずに悪戦苦闘してしまった。
完全にグダグダである。
そしてなんとかソッと心臓を取り返すと、後ろを振り返りローの元へと向かった。
因みに最後のとどめではないが、ユーリはローと対峙してる緊張の為か左右の手足が一緒に出ていた。
本人は気づいていないが。