第1章 前編 時の彼女と死の外科医
(確かに逢いたいなとは思ってたけどまさかこんな形で!?てか本当にこれは現実なの?夢なの?どっちなんだ!)
ユーリは動揺を隠せず混乱を極めていたが、ゆっくりと正面に向かって歩いて来るローの姿を、ガラスにへばりついてしっかりと見納めてた。
(この際夢でも現実でもどっちでもいいや、今の状況を楽しもうじゃないか!)
ユーリは心の中でガッツポーズを決めると、距離は離れてるがローの姿を目に焼き付けていた。
因みにユーリの入ってるカプセルは頭上の奥の方にある為、余程注意して見ないと見つからない場所にあった。
(…………はっ!ここがパンクハザードの工場ということは……ルフィとローの同盟を結ぶ瞬間は…すでに終わった後、だと?)
ユーリは是非とも生で見たかったシーンが終わっている事実に、膝から崩れ落ちた。浮いてるけど。
(あ、そうだ!トキトキの能力ってことは時間戻せるのでは!)
ユーリは名案とばかりに早速能力の無駄遣いをしようとしていた。
そして手をかざしたり念じたりポーズ取ったりすること数分、出来ない事実に再び膝から崩れ落ちた。
(なんて役に立たない能力なんだ。それでもおまえは時の能力者かよ)
理不尽な愚痴を漏らしたところで、状況が変わるわけでもない。
ユーリはため息を吐き再び体制を戻すと、いつのまにかローとヴェルゴが対峙していた。