第4章 番外編
AM 09:00
レンが暫く本を読んで過ごしていると、父と娘が起きて来た。
だいたいリンがローにしがみついて寝ているので、そのまま持ってくるのが日課になっているようである。
3人は軽く挨拶を交わすと、食卓についた。
リンは食事を前にすると、漸く意識が覚醒してきたようで色々とお喋りしながらご飯を食べていた。
因みにリンとレンは双子である。
二卵性なのでそこまで似ておらず、どちらかといえば父と母にそれぞれ似ていた。
リンは白髪で灰色の瞳をしており、髪は腰まで伸びている。
そして母譲りの食い気がすごく、性格も明るいというか煩い。
レンは黒髪の短髪でオレンジ色の瞳をしている。
性格はローに似ているが、父よりも突っ込みにキレがある。
そしてこの家で一番の苦労人であり、常識人なのかもしれない。
母と娘のボケ具合に突っ込みが追い付かないことも多々あった。
唯一の仲間だと思っていた父も、たまにふざけたことを言ってくるので油断できない。
そんな3人に振り回されているレンは、若くして既に眉間にシワが寄りつつあった。
「…リン、いい加減食べきれないと分かってて取ってくるのを止めろ」
ご飯と焼き魚を黙々と食していたローは、突然皿の上にフランスパンが半分乗せられてきたので、そう注意した。
「だって……これを食べたらメロンパンが入らなくなる。メロンパン食べないと、生きた心地がしない」
「…メロンパン好きすぎだろ。フランスパンより先に食えよ」
リンのよく分からない言い訳に、思わずレンは突っ込んでしまった。
いや、既に過去何回か同じことを突っ込んでいたのだが。
「フランスパンは自分が食べれる量を取れ。寧ろ最初からカットされてるのを買って来いよ」
「フランスパンはこの形だからフランスパンであって、カットされたらそれはフランスパンじゃなくなるよ」
「じゃぁ食う前に自分で切れよ」
「だからフランスパンはこの形だから(以下略)
リンは同じことを言いながらメロンパンを頬張っていた。
そして永遠とフランスパンの在り方について語ってくる娘に、ローは折れざる得なかった。