第4章 番外編
トラファルガー家の日常
フレバンスに降り積もっていた雪が解け始める春。
日が出る時間も早くなり始めた影響か、街並みにはちらほら人の姿が見えた。
早朝の澄んだ空気は清々しいだろう。
とくに今日は晴天である。
こんな日は、朝早くから出かけたくなるものである。
AM 08:00
レンが目を覚ますと、両親とリンはまだ深い眠りの中だった。
レンは軽くあくびをすると、この家で一番に活動始めた。
何を隠そう、トラファルガー家の朝は遅い。
平日ならまだ早いのだが、休日となると誰かが起こさないと永遠に眠り続けてそうである。
父であるローは、夜間に緊急患者等で呼び出されることもあるので、基本的に休日の朝は遅い。
娘であるリンは最近父の背中か腹の上に乗って寝ることがブームなようで、父が起きるまで目を覚まさない。
なぜそんな場所で寝ているかと言うと、数日前に見たホラー番組のせいで怖くて寝れなくなり、最終的に父の上に落ち着いたのだ。
正直寝苦しいはずなのだが、まんざらでもない表情の父を見て、ちょっとイラっとした。
そして母であるユーリは、当然のように起きない。
恐らくこの家で一番起きてくるのが遅いだろう。
別にその事には何の不満もないのだが、よくそんなに寝れるなと、子供ながらに感心していた。
よってこの家で一番早く起きるのは、いつもレンである。
特に今日は休日なので、まだ暫く誰も起きてこないだろう。
レンは先に朝食を取ってもいいのだが、一応誰かが起きてくるのを待っていた。
特に決まりはないのだが、なんとなくそうするのが日課になっていた。