第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
復讐が終ると、彼も少女を愛するようになりました。
しかし少女に与えられた力は、この世界の犠牲になるためのものでした。
また彼に不治の病が発覚し、少女はある決意をせざるを得ませんでした。
ーーー私のことは嫌いになって、彼には次の人生を歩んで欲しい
少女は彼の思いを断ると、その姿を消しました。
そして月日は流れ、再び少女は彼の前に姿を現しました。
「あなたに渡したいものがあります」
少女に連れていかれた先は、大きな遺跡がありました。
少女は心臓を祭壇へ捧げると、遺跡の扉が開きました。
その扉の先には宝の山がありました。
彼の仲間は喜んでいましたが、彼はあまり納得していませんでした。
「宝を手に入れた記念に、私と握手しましょう」
少女の差し出された手に、彼は仕方なく握手を交わしました。
そして少女はその遺跡に残りました。
閉じられた扉を唖然とした表情で彼は見ていました。
「もう我慢できないから全部バラすけどさ」
彼の前に突然現れた妖精は、少女の思いを全て彼に伝えました。
少女はもうここから出られないこと、彼の病を握手の時に吸い取ったこと、そして……彼を愛していたことを。
「……愛している…だと?……そんな言葉も、素振りも、まったく見せなかっただろうがっ!?」
彼は扉を叩きつけました。
「必ず迎えに来てやる。だからそこで待ってろ!」
彼はそう言うと、その場を去っていきました。