第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
そして再び月日が流れました。
彼は約束通り、少女を迎えにきました。
時の力を与えられた別の女性を騙し、扉を開けさせたのです。
そして目の前で愛を交わし合う二人に、彼女は当然激怒しました。
怒りのあまり、彼女は彼の記憶を消し去りました。
少女は連れていかれてしまった彼を必死に追いかけました。
辿り着いた先は王宮で、二人の結婚式が開かれようとしていました。
少女は病に侵され、心臓もなく、いつ死んでもおかしくありませんでした。
ーーーどうか、彼だけでも逃げてほしい
少女は駆け出し二人の間に割って入りました。
鳴り響く銃声、向けられた彼からの殺意に、少女は静かに笑いました。
「愛しています」
その言葉と共に、彼女は撃たれて倒れました。
そしてその瞬間、彼の記憶は戻りました。
唖然とする彼は、仲間に助けられなんとかその場から逃れました。