• テキストサイズ

時の恋人【ONE PIECE】

第3章 後編 愛する彼女と死の外科医





「ふざけるな!!おれは、こんなことをさせる為にここに連れてきたわけじゃ…」


悲痛な声を上げるローにユーリは振り返ると、そっとその唇に指をあてた。


「私がローの立場だったら、きっと死ぬほど辛い。だから……本当にごめんなさい」


遠くで聞こえていた地響きは、鳴りやんだ。

目の前には、今にも泣きそうな表情のローがいた。


いや、もう彼は、だいぶ前から泣いていたかもしれない。


私と出会わなかったほうが良かったかもしれない、とは言わないでおいた。


それを言ってしまうと、二人の思い出を全て否定してしまうことになるから。







ーーーただ、彼を残して先に逝くのが心配で、心残りだった












ユーリはそっとローに顔を寄せると、キスをした。


血と涙が入り混じる口づけは、二人が歩んで来た道を表しているのだろうか。


いや、もう少し甘くてもいいだろと、ユーリは少し苦笑していた。



口付けが終ると、ユーリは静かにローへ寄り掛かった。


「……ぃ…る…」


ユーリが小さく呟く声が聞こえなかったので、ローは咄嗟に耳を寄せた。



















「……愛…し……て…る」
















雪が降りそそぐ、フレバンスの丘の上

















冷たい風が草花を揺らす中……ユーリは静かに息を引き取った。







/ 576ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp