第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
私は今まで3つ、ローに嘘をついてきました。
ユーリを抱えながら、雪山をローは必死に超えていた。
一つ目は、ローからの思いを断った時。
二人が通り過ぎた道は、赤い血に染まっていた。
それは二人が今まで歩んで来た道なのだろうか。
ユーリは苦笑した。
二つ目は、生贄になると決めた時。
呼吸をしているのか分からないユーリとは正反対に、彼は息を荒げていた。
アスガルド帝国からフレバンスの丘までは、かなり距離がある。
それをユーリの為に、彼は必死で能力を使い走り続けてくれた。
(…ありがとう、ロー。そして、ごめんなさい)
ユーリはぼやける視界の中、彼の姿をしっかりと見つめていた。
三つ目はーーーー