第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「……っ!!」
ローは目を覚ました。
そして慌てたように起き上がると、ラミアが驚いたような表情で見ていた。
「……気が付いたの?」
突然のことにラミアは戸惑っていたが、ローが意識を取り戻したことに安堵のため息を吐いた。
ローが倒れて数時間後。
ユーリの様子を見に来た看護師が、室内で倒れているローをを発見した。
すぐに院内の人々はローの体内を蝕んでいる毒を取り除くため、必死に治療を行った。
しかしフレバンスの院内には、彼の毒を解毒できるものがなかった。
その事実は、彼らを絶望の底へ叩き落とした。
国王である彼を死なせたくないのは勿論、今までお世話になったローを死なせるわけにはいかなかった。
彼らは必死で解毒の方法を調べていた。
例え助かる可能性が残っていなくても、諦めるわけにはいかなかったのだ。
そしてそんな時だろうか、運よくラミアがローを訪ねてきた。
ローをというよりユーリの様子を見に来ただけなのだが、彼女が来てくれたことによりローは一命を取り留めることができた。
ラミアは医療に長けているだけでなく、薬剤にも詳しい。
だからローの解毒剤をすぐに作り、彼を助けたのだ。
「ユーリはどこだ?」
ローはまだ身体は本調子ではないが、そんなことを言っている場合ではなかった。
早くユーリを探して止めなければ、彼女の心は壊れてしまう。
「……彼女は…」
そしてそんなローにラミアは少し表情を曇らせると、ユーリが今どうしているのか話してくれた。
本当はもう少し安静にするべきなのだが、今の彼には何を言っても無駄だろう。
ユーリは今、ギルベルトの国で政府と戦っている。
ローが意識を失っていたのは一週間。
その間、色々なことが起きていた。