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時の恋人【ONE PIECE】

第3章 後編 愛する彼女と死の外科医



ユーリはそんなローの姿を見て少し考えていたが、軽く一呼吸をすると静かに口を開いた。

「ロー、よく聞いてほしいことがあるの」

ユーリは熱で浮かされる意識の中、彼にどうしても伝えなければならないことがあった。

「私を心配してくれる気持ちは本当に嬉しいです。でも、あなたの手には私だけじゃなく、多くの人の命を抱えている。私は、フレバンスの国民の命よりも、私を選んで欲しくないんです。もちろん、私は死ぬわけじゃない。だから、今は私のことは気にせず、この国の為に動いてほしい」

静かに発せられる彼女の言葉を、ローは黙って聞いていた。

高熱で視界がぼやける中、彼がどんな表情なのか確認することはできない。

でも、なんとなく彼は、分かってくれているような気がしていた。


「……三日後、政府との会談がある。それまではお前の傍にいさせろ。その後は、できるだけ早く終わらせてここに帰ってくる」

ローは暫く考えた後、苦痛な表情を浮かべてそうユーリに伝えた。

その答えは、ユーリの願っているものだった。

ユーリはローの言葉に嬉しそうに笑みを浮かべた。

そしてローの手をそっと握ると、どうしても寝れないので添い寝をお願いした。

ローは彼女の手を一度握り返すと、彼女の身体を抱きかかえローが横になるスペースを作った。

「…ありがとう」

そしてユーリの隣に横になると、彼女は嬉しそうにローに抱きついてきた。

そんな彼女の背に手を回し抱きしめ返すと、彼女が寝れるように優しく撫でていた。





そして彼女が眠りに入っていった後も、ローはずっと傍にいた。



彼女の体調が良くなるよう、出来る限りのことをしてやりたいと思っていたのだった。


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