第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「今回の大きな課題は、知ってのとおりフレバンスと政府の関係だ」
ギルベルトはローに視線を送ると、意味ありげに笑った。
そもそも今回彼らがフレバンスに手を貸すのは、今後の資源確保と、ユーリの存在なのだろう。
そのあたりを何となく察していたローはうんざりとしていた。
ロー1人で対処してもいいが、それはあくまで個人としての立場で考えたらの話だ。
一国の王となると、自分一人の考えだけでは駄目なのだ。
ローは眉をひそめると、さっさとしろと先を促した。
「私が掴んだ情報だと、遅くても1か月以内に政府は動き出すようだ」
「一か月!?もう少し早く会議を開くべきだったかしら?」
「早くも何もてめぇらが外をフラフラ出歩いてるからこうなったんだろうが」
「ローだって忙しい忙しい言ってたじゃない」
(王様達は……みんな忙しくて……会議が…遅れたようです…)
ユーリはしっかりと彼らの会話を記録していた。
「おまえらどんだけ忙しいんだよ。うちの国王見習え、かなり暇そうだぞ」
「暇と言うかただの引きこもりだろ」
「……シュライヤ、あなた自分の国王をさり気にディスってるんじゃないわよ」
(シュライヤの…国の王は……今日も…引きこもりのようです)
「まぁ取り合えず間に合ったからいいじゃないか。それよりも戦力はどうするかね?必要あればアルガルドから兵力を貸すが?」
「あーうちも貸してもいいけど、あの国王争いごと嫌いだしなぁ。仕方ねぇから気が向いたら俺が行ってやるよ」
「確かに君一人なら、戦力として十分だろうね」
「気が向いたらの話だぞ」
「んー、私の兵力はあまり期待しないでほしいわ。薬や食料等の支援物資なら大丈夫だけど」
(それぞれの王たちは……色々力を貸してくれるみたいです)
「そうかよ。じゃぁ適当に援助してくれ」
「いいねその自由な感じ。私は好きだよ」
「自由と言うか適当でしょ。まぁ私もそっちの方が助かるけど」
「……大丈夫かよ」
(ローは適当に…受け入れ…王達もそれで…了承しました…シュライヤだけが…心配のようですが)