第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「あっ、そういえばユーリちゃんは?来ていないの?」
そしてローが考え込んでいると、恒例のこの言葉が聞こえて来た。
どうして近隣諸国の王はユーリを狙う奴ばかりが集まってくるのか。
男女構わず魅了するのも彼女も魅力なのだろうが、彼女の魅力はローだけが分かっていれば十分である。
「ここに連れてくるわけねぇだろ」
「えー?絶対私の好みだと思うし、ちょっとくらい会わせてよ」
「おれがいるのに、よく堂々とそんなこと言えるな。斬られたいのか?」
「やーね、ただのお友達として交流を深めようとしてるだけじゃない。女の特権よ」
「……ほんとかよ」
ラミアの言葉にローの眉間のシワもだんだん深くなってきた。
まったくもって油断のできない女である。
以前はローがいるので手は出さないと言っていた気がするが、どういう心境の変化なのか。
ここに来てから、ローの悩みは日に日に増えている気がしてならなかった。
「まぁどっちにしても、彼女は私たちと会うことになると思うわよ?」
「……どういうことだ?」
ラミアの言葉にローは意味が分からないという眉をひそめた。
ユーリにはギルベルトのことも、シュライヤのことも、ラミアのことも話す予定はなかった。
わざわざユーリを狙ってるような奴の話などするわけないし、会わせる気もなかった。
ローが会わせないと言っている以上、ユーリを誘拐でもしない限り会うのは無理だろう。
「あなた聞いてないの?ギルベルトの提案で、『第一回 フレバンスを守る会 inフレバンス』が開かれることになったのよ」
「聞いてねぇよ」
ラミアの言葉にローは冗談ではないと頭を抱えた。
どういうつもりかは知らないが、恐らくその場にユーリを連れてこいということなのだろう。
そんなことをローが許すとでも思っているのだろうか。
というか第一回ということは何回する気なんだよ。
そしてそのタイトルは何なんだ。
しかも勝手にフレバンスで開催しようとしているし。
最早ローの突っ込みは追い付かなかった。