第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ユーリの作った謎の募集チラシで新たに雇う医者が決まった頃、フレバンスに隣接する最後の国、リニエル王国の王女が挨拶を申し出てきた。
いい加減ローも慣れてきたので素直に王宮に出向いたのだが、面倒なことには変わりなかった。
というか王女だという事実もつい最近知った。
どんだけ隣国に興味ないんだよと言われるかもしれないが、本当に興味ないから仕方ない。
「リニエル王国の王女がお見えになりました」
ローが再び王宮の一室で待っていると、そう時間が経たない内に王女が到着した。
目の前で開かれる扉に、なんとなく胸騒ぎがした。
過去2回ともろくな奴がそこに立ってなかったので、警戒しても仕方ない。
まさか自分が過去に関係を持ったことのある女でも現れるのだろうか。
ローは軽く息を吐くと、余計なことは考えるなと自分に言い聞かせた。
ここでフラグなど立てるなど、最早自殺行為だ。
「……やっぱりあなただったのね。最初名前を見た時は同名の誰かかと思ってたけど」
前言撤回。フラグは既に立っており、綺麗に回収された。
「……はぁ」
ローは思いっきりため息を吐くと、ソファーの背もたれに寄り掛かり天井を仰いだ。
目の前にはローの腐れ縁で、過去ユーリに使った媚薬を提供してきた、ラミアが立っていた。