第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「……取り合えず、新しい医者を雇うことにする」
ローはそろそろ時間なので身体を起こすと、今後のことをユーリに話した。
「なるほど、それはいいかもしれないね!このままだとローが過労死してしまう」
ユーリもローの後に続くように起き上がると、ベットに座った。
ロー曰く、医者が二人になればだいぶ違うらしい。
というか今まで医者の募集はしていないのかと聞かれたことがあるので、募集すればすぐに人は集まってくるだろう。
もう一人増えれば日勤と夜勤に分かれて交代制にすればいい。
そうすればユーリと過ごせる時間も増えるのだ。
「分かった。じゃぁまた募集のチラシを作っておくね!」
「……あの変な絵は止めろよ」
「む、失礼だな!私の自信作なのに!」
ローは以前ユーリが勝手に街にばら撒いたチラシを思い出して少し笑っていた。
寧ろ、よくあれでこんだけ人が集まったのか謎だ。
人なのか犬なのか分からない生物が描かれた募集チラシを見れば、あの病院やべぇってなってもおかしくはない。
まぁ全てはユーリの持っている謎な力のおかげなのだろうが。
本当に彼女の持つ力は不思議だ。
「そろそろ戻る。変な奴が来たらすぐ言えよ」
ローは立ち上がると、ベットに座るユーリを引き寄せてキスをした。
少し前、ここに藤虎が訪れたと話を聞いた。
その時は本当に心臓が止まるかと思った。
身に着けているペンダントが反応しなかったので、何事もなかったのだろうが、ローのいないところで彼女を危険な目に合わせてほしくなかった。
医者を雇おうと考えたのも、その話を聞いたからであり、少しでもユーリの傍にいれるようにしたかった。
「……んっ」
軽くリップ音をたてて口づけから解放すると、ユーリは少し頬を赤くしていた。
そんな彼女にローは笑みを深めると、名残惜しいが再び院内へ戻っていったのだった。