第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ローとシュライヤが最悪の再会を果たして数日後、ユーリの店に珍しい客が訪れた。
「どうもすいやせん。愛用の刀が折れたもんで、直して貰えやせんでしょうか」
そう言って現れたのは、藤虎だった。
「……んん!?」
ユーリは驚きその場に固まった。
フレバンスが再建してまだ数カ月。
まさかこんなに早く海軍が、しかも偉い立場の人が来るとは思っていなかった。
(うわっどうしよう!?もしかしてローを捕まえに来た!?もしくは私!?……あれ、そういえば私の手配書どうなったんだ?まったく忘れていたけど、髪色とか能力とか変わったからチャラになったのかな!?)
かなり長いこと忘れていた手配書の存在を、ユーリは今思い出した。
確かに最近見なくなっていたので、死んだとも思われているのだろうか。
それならそれで都合が良いのだが、実際のところよく分からなかった。
「はて、誰もいやせんか?」
そしてユーリは動揺していると、藤虎が辺りを見渡す仕草をした。
そういえば彼は目が見えないのだ。
それならばもしかしたらユーリだと気づかないかもしれない。
「す、すいません!今すぐ直しますね」
ユーリは慌てて彼の前に行き刀を受け取った。
突然現れたユーリに動揺することなく接する藤虎に、少し違和感を感じた。
「お久しぶりですね。ドレスローザ以来でしょうか」
藤虎の言葉にユーリは固まった。
前言撤回。藤虎は普通に気づいていたのだ。
それもそうだ、彼くらいの人物なら目が見えなくても気配で分かるだろう。
なぜそのことに気づかなかったとユーリは顔を引きつらせたが、取り合えず刀は直してあげた。