第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「そういえばユーリはどうしてるんだ?」
話がひと段落すると、シュライヤは当たり前のようにユーリの近況について聞いてきた。
そしてローはその言葉に眉間のシワを深くした。
どうしてフレバンスの国の周りには、ユーリを狙う輩が集まってくるのだ。
いっその事、近隣諸国を全て滅ぼしてやろうかとも思っていた。
「なんでてめぇに教える必要があるんだ。用件が終ったんならさっさと帰れ」
「……はいはい、分かりましたよ」
シュライヤはローの相変わらずな態度に肩を落とした。
何気にシュライヤはユーリのことを気にかけていた。
もし目の前の男が振られていればとも思ったが、その期待は外れたようだ。
彼の指にはめられている指輪が全てを物語っていた。
「じゃぁ頑張れよ、国王様?」
シュライヤは嫌味たっぷりにその言葉を吐くと、その場を去っていった。
ローはそんな彼を睨みつけていたが、そっとため息を吐いた。
やっぱりこの立場は面倒だ、というか合っていない。
ローはソファーに深く腰を掛けながら、国王交代計画でも企ててやろうかと考えていた。
政治ごとのほとんどは従者たちがやってくれているが、面倒なものは面倒だから仕方ない。
というか日に日にユーリと過ごす時間が奪われている感が否めない。
(……はぁ)
ローは暫くその場に留まると、これから先のことを考えていたのだった。