第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「国王から預かった話なんだが……」
シュライヤはローに睨みつけながら渋々と話していった。
国の貿易関係、何が発展し何が強みなのか、または何が足りないのか。
更には今の国王はフレバンスが滅んだ時にはその立場にいなかったが、前国王に変わって詫びをしたいと。
「……」
話を聞いているのか聞いていないのか分からない彼の表情に、シュライヤの眉間のシワも増えつつあった。
そして仕方なく彼に意見を求めようとした時、漸くその口を開いた。
「そうか、じゃぁ勝手にしろ」
あれでけ色々話したにも関わらず、彼の返事はたったその一言だけだった。
「いやいやもっと具体的に話をしないと駄目だろうが!!勝手にしろって何を勝手にすればいいんだよ!」
「知らねぇよ。てめぇで考えろ」
「おまえが考えろよ!」
シュライヤはだんだん頭が痛くなってきた。
いや最初から痛かったんだが、目の前の男の適当さに最早呆れて言葉もでなかった。
仮にも一国の国王がこんなのでいいのか。
まぁ恐らく彼もその辺の事情に詳しくないので、適当にやってるのだろうが。
「フレバンスは多くの資源に恵まれている。この事実に少しは危機感持てよ」
シュライヤは話が進まないと思い、非常に不服だが彼に教えてやることにした。
フレバンスは再建したばかりだが、多くの資源に恵まれている。
今までは珀鉛を恐れて誰も近づかなかったが、ここぞとばかりに話を持ち掛けてくるだろう。
その事をこの男は分かっているのだろうか。
シュライヤは眉間に刻まれたシワを深くしながらも、なんとかお互いの国に足りないものを供給し合うということで話をまとめた。
まとめたと言っても、ちゃっかりフレバンスが有利になるように話を進めるローも中々食えない男である。