第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「いやいやお前みたいなやつが国王なんておかしいだろ!この国大丈夫か!?」
「……てめぇこそ国王の代理人だろうが。そっちの国こそ頭おかしいんじゃねぇのか」
「うるせーよ!俺だって好きで来たわけじゃねぇ!」
シュライヤは扉の前で唖然と立ち尽くしていた。
実をいうとシュライヤは若い頃からフレバンスの隣国にある国、バルカス王国に滞在していた。
普段は海賊として海を渡り歩いているが、偶にこうして国に帰ってくることがあった。
国王とは古い友人で、彼には色々と助けてもらっていた。
シュライヤが海賊として上手くやっていってるのも、国王が影で手引きしてくれているのが大きい。
そんな彼の今回の頼みごとを、断れるはずがなかった。
「はぁ、なんか疲れた」
シュライヤは取り合えずローの向かい側に座ると、背もたれに寄り掛かりため息を吐いた。
ローはフレバンスの国王として有名になりつつあったが、シュライヤは知らなかった。
もし知っていたら何が何でも断っていたはずだ。
元々政治ごとには興味はないし、他国のことなどどうでもよかった。
船に届く新聞も読んだり読まなかったりで、主にクルー達が読んでることが多い。
「疲れたんなら帰れ。おれだって暇じゃねぇんだ」
「帰れるものならすでに引き返してるし、おまえ一応国王なんだろ?隣国の情勢や申し出を少しは聞けよ」
「じゃぁさっさと話せ」
目の前でふんぞり返っているローに、この野郎とシュライヤは思った。
何が悲しくてこんな男の下手にでないといけないのか。
これが国絡みの問題でなければ即効戦闘に発展してるところだ。