第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
毎日忙しく過ごしている二人だが、昼だけは一緒に取るという約束をしていた。
院内には何時の間にか食事を提供するスペースも出来ていたが、ローは人の多いところを好まない為か、その姿を見ることはできなかった。
そもそもの約束の発端は、ローが忙しくてまともに昼を食べていないと噂を聞いたことから始まったのだ。
看護師たちは心配していたが、それを言ったところで改善されないのは分かっていたので、ある日ユーリに相談してきたのだ。
ユーリはその話を聞いて驚いていた。
確かに食堂で見かけたことがないと思っていたが、まさか食べていなかったとは。
そこは気づいてやれよと突っ込まれるかもしれないが、彼女だから仕方ない。
因みにユーリはしっかりと食堂の美味しいご飯を食べていた。
「先生ー!ご飯を食べないとはそれでも医者の端くれですかー!」
バンッ!
そして次の日の昼休み、ローが医院長室で休んでいると騒がしい奴が現れた。
勢いよく扉が開かれたと思えば、目の前には両手に食事をのせた皿を持っているユーリが現れた。
ローは何時かの誕生日での出来事が蘇り、今度は先に彼女の持っているものを回収した。
というか両手に持っているのにどうやって扉を開けたのか謎だ。
もしかして足なのか。
そして先生って何だ。
ローは皿をテーブルに置くと、何か言いたげにユーリへ視線を送った。
「さぁ食べましょう!」
しかしユーリは気にすることなくさっさと食事を始めた。
そんな様子にローも軽く息をついて座ると、用意された食事を食べ始めた。
そしてユーリに何故わざわざ来たのかと、理由を聞いてみたら上記の話をされた。
ローは一瞬余計なことをと思ったが、よくよく考えたらユーリと過ごせる貴重な時間なのでありがたく有効活用することにした。
ローは仕事のせいで夜遅くに帰ることが多かった。
その為ユーリが先に寝てることがほとんどなので、ローの欲求不満は日に日に募りつつあった。
フレバンスに来てから何かと忙しくて、ユーリに触れてる暇がなかったのだ。