第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ユーリとローの存在が有名になり始めて1か月程経った。
ローは元々フレバンスの国王として有名だったのだが、ユーリはまだあまり知られてなかった。
その為、ユーリを一目見ようと集まってくる人も少なくない。
国王の妻という立場に興味があるもの、その能力に興味があるもの、そしてユーリ自身に興味のあるものと様々だ。
~修理屋ユーリ~
何でも直します(ただし一回限定)
その看板を病院の一階のスペースに設けたユーリは、毎日訪れた客たちの対応に追われていた。
「子供のおもちゃが壊れてしまったんです。亡くなった父からの贈り物なので直してもらえないでしょうか?」
「もちろん直せます!」
「世界に1つしかない絵画が何者かに破られてしまって。ここは何でも直せるのか?」
「もちろん何でも大丈夫です!」
「小船が座礁に乗り上げて穴が開いてしまったんだ。ここは出張依頼もお願いできるのかな?」
「もちろん何処でも行きます!」
「君に心を奪われて夜も眠れないんだ。僕の心の病を治してくれないだろうか」
「……ん?精神病?それはお隣のトラファルガー先生の所に行ってください!」
訪れる客の多くはちゃんと物を直しにくるのだが、偶に変な奴も現れる。
ユーリの笑顔と明るさ、更に美人とくれば惹かれる客も少なくない。
しかし彼女の華麗なスルースキルによって、その者たちは皆お隣のローの所へ案内される。
その後の彼らがどうなるのかは、言わなくても察することができるだろう。
またユーリは忙しそうにしているが、空いた時間はゆっくり客と雑談を楽しむこともあった。
そんな彼女の周りは何時も人で賑わっており、楽しそうだった。