第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ローがフレバンスのトップに立ち一ヶ月が過ぎた。
フレバンスの街並みもあれだけ荒れていたのが嘘のように穏やかになりつつあった。
人口も更に増えていき、瞬く間に栄えて行った。
ローは医院の時も思ったが、海賊として名を挙げている奴が国王なのに、わざわざこの国に来るのか理解できなかった。
白く美しい街が気になのも分かるが、いまいち納得できない。
「きっとローがなんだかんだでちゃんとしてるからだよ」
ユーリはそう自信満々に言ってくるが、それこそ意味が分からなかった。
ローがしているのは海賊退治だけだ。
もちろんそのおかげで今では攻め込んでくる命知らずは出てこなくなったが、それだけでこの国にくるのだろうか。
ローの疑問は消えることはなかった。
まぁ、実際にはユーリの言う通りなのだが、ローがそれに気づくことはなかった。
もし追加するとするならば、フレバンスという街に興味があって行ってみたら、気に入ったという人も多いようである。
そう思わせるように努力してるのが、支援に来ていた人々とローの存在だ。
世界政府がそれをどう思うかは分からないが、それが事実である。
そしてローの名前が世界に広まり始めた頃、なんと隣国の国王が挨拶に向かいたいと申し出てきた。
もちろんローは面倒くさいから断ろうとしたが、流石にそれはまずいと周りの人から止められた。
だったら他の奴を向かわせればいいと提案したが、ローの顔はすでに相手も分かってるだろうし、わざわざ国王自ら来るのにそれはまずいと再び却下された。
(…めんどくせぇ)
ローはフレバンスにある王宮の一室にいた。
一応フレバンスにも王宮があるが、ローは使う気がないので支援の人達に好きに使ってもらってた。
そのおかげではないが、王宮は綺麗に保たれていた。
ローは眉間にシワを寄せながら相手の国王を待っていると、到着した旨の知らせを受けた。
知らせを受けた後程なくして扉が開かれた。
ローは現れた人物に目を見張る。
そして次に思いっきり舌打ちをした。
「やぁ、元気そうだね。まさか国王になるなんて随分と真面目じゃないか」
「……その言葉、そっくりそのままてめぇに返してやるよ」
ローの前に現れたのは、カジノで出会ったあの男だった。