第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
そしてユーリが勝手に彼らと今後を話し始めたので、ローは舌打ちするとユーリを引き寄せ元の位置に戻した。
「……あぁ、もういい分かった。名前は貸してやる。それ以外はどうしても手に負えなった時だけ言ってこい。そしてユーリ、おまえは何もするな、大人しくしてろ」
「あ、ありがとうございます!」
「えー、私も手伝うよ」
両者反応は別々だったが、これ以上ユーリを巻き込みたくなったので話を終わらせた。
ユーリを危険なこと、厄介なことから極力遠ざけたかったのだ。
「…そ、それで、早速で申し訳ないのですが、実は今この国に海賊が攻め込んでいまして……」
「……はぁ?」
ローは彼らの言葉に唖然とした。
そういえばなんか外が騒がしいと思っていたが…
まさか引かなかった本当の理由はこれじゃねぇだろうな。
ローは戦ってもないのにどっと疲れてる感覚に陥った。
「てめぇ、そういうことは先に言え」
そしてローは彼らを睨み付けると鬼哭を手に取り外へ向かった。
もちろんユーリには大人しく待ってるように釘を刺していた。
「本当に巻き込んでしまって申し訳ないです」
ローが出ていくと、ユーリと支援の人達だけとなった。
「いえいえ、困った時はお互い様ですよ。といってもほとんどの負担はローへかかってるので、私が言えることでもないのですが」
ユーリは苦笑した。
なんだかんだで引き受けてくれたローに感謝しているが、余計な負担を増やしてしまったので申し訳なかった。
「もちろん、ほとんどのことは私たちが行います。あなた達はこの病院のこともあるでしょうし」
すでにこの病院は、フレバンスになくてはならない存在になりつつあった。
そのことを彼らは知っていたので極力負担を掛けるつもりはなかった。