第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「おれがそんな役目受けるわけねぇだろ。他を当たれ」
ローは話が終わったとばかりに彼らを追い出そうとした。
しかし彼らは中々引かなかった。
更には土下座までし始める始末だ。
ここまでくると、いったい何が彼らを動かしてるのか謎だった。
故郷でもなんでもないこの国の為に、そこまでする必要があるのだろうか。
「仕方ない、ここは私が…」
「ほ、ほんとですか!?」
「おい、話がややこしくなるだろうが。おれがそれを許すとでも思ってるのか」
「だって、誰かがしないと終わらないでしょ?」
「そんな簡単なもんじゃねぇよ。わざわざ面倒ごとに首を突っ込むな」
ローは頭が痛くなってきた。
何度も言ってるが焦らなくてもその内上に立つのが好きな奴が現れるはずだ。
今すぐどうにかしたい気持ちも分からんでもないが、だからと言って巻き込まないで欲しかった。
「名前だけでもいいんです!国の政治やその他は我々がどうにかするので、力が必要な時だけお願いできないでしょうか!」
なんとも恐れ多いことに、ローの名前だけでも貸してくれと彼らは言ってきた。
もちろんローはそんな彼らを睨みつけたが、もう後に引けないのか結構強引だった。
しばらくお互い睨み合いが続いたが、彼らは再び土下座をし始めたので、ローはそっとため息を吐いた。
そして、なぜこの国の為にそこまでするのか聞いてみた。
「もともとこの国を復興させようと始めたのは我々です。だから最後まで責任を取るのが道理かと…」
「その責任をおれに押し付けようとしてるじゃねぇか」
「うっ…そ、そこは本当に申し訳なく思ってます」
床に頭がのめり込むんじゃないかと思うくらい彼らは土下座を続けた。
「なるほど、その考えでいくと私も責任を取らないと」
そしてユーリもまだそんなことを言っていた。
恐らくこの国を再生させたのは彼女なので、色々思うことがあるのだろう。
最早この場にローの味方はいないのかと思うと、ため息が止まらなかった。