第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
フレバンスが再生されてから一週間が経った。
フレバンス復活の話題は忽ち世界中に広がり、まだ一週間しか経っていないのに多くの人が訪れ始めていた。
白く美しい街並は誰もが住みたいと思うだろう。
珀鉛がなくなれば尚更だ。
「だいぶ賑やかになったね」
ユーリはローの病院の窓から外を見ていた。
勝手に商売を始める者、物件を貰う者、様々な人が集まっていた。
「…予想はしてたが、めんどくせぇな」
ローもユーリの隣に立つと、好き勝手してる人々にため息を吐いた。
人が集まればもちろん問題も起きる。
今のフレバンスは収める国王がいないので無法地帯と言ってもいい。
誰かが統率を取らないと、いつまでもまとまりのない状況が続くだろう。
そして2人はこの件には関わらないと決めていた。
お互い面倒くさがりなので、自らまとめ役などなりたいわけがなかった。
「いやいや、ローは船長だったでしょ。国一つまとめるくらいお手の物でしょ」
忘れかけていたが目の前に適任者がいるではないか。
ユーリはさぁ行ってくるんだとローを押しやった。
「ぶさけるな、海賊のトップと国のトップは違うだろ。誰がそんなめんどくせぇことするかよ」
ローはユーリの手を掴むと、眉間にシワを寄せた。
そのうち誰かが統治すると思うので、わざわざ首を突っ込むはずがない。
完全に我関せずなユーリにため息を吐くと、おまえが行って来いと逆に玄関に押しやってやった。
そしてそんなやりとりをして数日後。
不運なことに、面倒ごとが向こうからやってきたのだ。