第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ローがフレバンスへ足を踏み入れると、支援に来ていた人がいた。
何やらお礼の言葉を述べてきたが、ローは視線すら寄こさず彼らの横を通り過ぎた。
そんなローに彼らも不思議な表情をしていたが、腕の中でぐったりしている彼女をみて何かを察してくれたようだった。
バンッ!
ローは十数年ぶりに生まれ育った家の扉を開いた。
足を踏み入れると、滅びる前の姿がそのまま残っていた。
勝手知ったる家の中をかけていき手術室へ入ると、診察台の上にユーリを寝かせた。
「またおれをおいて行くつもりか?……そんなの許すわけねぇだろ!」
ローはユーリの服を脱がすと能力を使って体内に手を入れた。
内臓や脳の損傷を診るが、特に目立ったものはない。
しかし彼女の低すぎる体温に嫌な予感がすると、彼は必死に昏睡状態に陥った原因を探り続けた。
もう二度と、彼女を失いたくなかった。