第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
(あぁ、うん…そうだね。それでいい)
ユーリは瞳を閉じているが、フレバンス全体が見えていた。
試行錯誤しながら能力を操り、元の形を形成していく。
彼女にかかる負担は相当なものだった。
しかしここで気を失うわけにはいかない。
最後の珀鉛を消し去るまでは、倒れるわけにはいかなかった。
そしてそう時間が経たない内に、ユーリの再生が終わりに近づいた。
今は全体の8割ほど終わっただろうか。
(ちょっときついなかな)
ユーリは唇を噛みしめて、少し早いが珀鉛も消し始めることにした。
予想以上の負担に最後までできるか不安になったのだ。
ユーリは左手を握り締めると、思いっきり手前に引いた。
途端に大きな衝撃が町全体を襲った。
建物が壊れるほどではなかったが、鈍い音が辺りに響き渡る。
(…もう少し、もう少しだ…)
町全体から珀鉛が消えていく。
(……あと少し)
ちょうどフレバンスの再生は終了した。
目の前には美しい街並みが広がっており、見たものを圧倒させるだろう。
(………あと…)
ユーリは目を開いた。
激しい頭痛に吐き気、身体全体に痛みが走り、体調は最悪だった。
まるで体内から破壊されているようだ。
「……っぐ…」
ユーリの身体がふらついたが、なんとか踏みとどまった。