第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「そうかい?それは助かるよ。しかし後ろの彼は……」
ユーリの言葉に皆も感謝の言葉を述べていたのだが、背後にいるローが気になるようだった。
海賊なんて良いイメージがないので警戒しても仕方ないだろう。
ましてや名を馳せた海賊なら尚更だ。
「あ、彼はこの町の出身で一緒に復興活動を手伝ってくれるんです。きっとフレバンスで一番の医者になってくれますよ」
「え!?フレバンス出身の生き残りがいたのか?それは気の毒だったな……」
ユーリの言葉に、支援に来た人達の警戒心も少し和らいだ。
フレバンスの惨劇はここにいる皆が知っていた。
「とは言っても海賊だしなぁ……本当に信用していいのか?」
「うーん、それは私が決めるのではなく皆さんが決めてください。彼が信用できるのを私はよく知っていますが、それを決めるのは皆さんなので」
なんともあっさりしたユーリの言葉に、周りの人も少し面食らっていた。
身内なら何としてでも説得してきそうだが、彼女は違った。
だから逆に、彼女の言葉を信じてみようと思えたのだ。
「それじゃぁ今から能力を使える場所まで移動しますので、終わるまで離れててくださいね。多分1~2時間で終わりますので」
「すまないね。気を付けて行くんだよ」
支援に来ていた人々がその場を立ち去って行くのを確認すると、ユーリもまたローと一緒にこの場を離れたのだった。