第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
山を越えると、意外とすぐにフレバンスに辿り着いた。
二人は暫く中に入らず周りを歩いて街の様子を伺っていた。
白く美しい街も、灰色に寂れてしまいただの瓦礫の山と化していた。
珀鉛が怖くて誰も近寄ってなかったのか、植物にも覆われているようだった。
そして珀鉛は植物には影響ないのかとどこか不思議に思いながら街の周りを歩いていると、復興活動をしていると思われる人々を見つけた。
「すいませんー!ちょっとお話を…」
ユーリは普通にその輪に入っていった。
その姿をローは少し離れた場所で見ていた。
ローの姿を見て死の外科医だと驚いている人もいたので、少し距離を置いていたのだ。
一応変装はしていたのだが、相変わらずの黒縁メガネに脱帽のみだったので、船から降りてここに来るまで騒がれなかったのが寧ろ不思議なくらいだ。
「私は悪魔の実の能力者で、この町を一瞬で元に戻せるんです。だから危ないので少し離れれてて貰えないですか?」
ユーリはなんとも簡潔に述べた。
そして突然現れたユーリに周りの人も驚いていたが、彼女の言葉に興味を引いていたようだった。
珀鉛をどうしようもできなかったのでお手上げの状態だったのだろう。
しかし何もせずに戻るわけにはいかなかったので、彼女の申し出は正直ありがたかった。