第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
翌朝になるとローとユーリは予定通りフレバンスに隣接する国へ辿り着いた。
船から降りると時期的に冬なので辺り一面雪で覆われていた。
フレバンスへ行くためにはここから山を1つ超えるようなので、取り合えず時間を見ながら山の麓まで歩いていくことにした。
「復興活動はあんまり進んでないみたいだね」
二人はフレバンスへ向かいながら情報取集をしていた。
フレバンスの復興活動は隣国でも話題になっているようだ。
すぐに情報が入ってきたのは助かったが、残念なことにどれも似たような話ばかりだった。
「まずは珀鉛をどうにかしねぇと無理だろ」
予想通りというか、人はそれなりに集まったみたいだが珀鉛の対処法が見つからず街にすら入れてないらしい。
対処法を見つける前に何故集まったのか問いただしたいが、取り合えず現地に行こうとなったのだろう。
「あんまり進んで貰っても私の能力のせいで折角集まった人の労力が無駄になるのも困るし、そのまま大人しくしててくれないかな」
ユーリの言う通り、彼女が到着すれば全て解決してしまう。
ローは未だに不安を抱えているが、彼女は絶対に引かないのは分かっていたのでどうしようもできなかった。
「本当に大丈夫なんだろうな」
「ん?何が?」
「…能力を使ってフレバンスを再生したら、おまえに影響はないのか?」
ローの言葉にユーリは一瞬考える素振りを見せた。
たったそれだけの行動で、ローはユーリが何か隠しているのが分かってしまった。