第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「あ、君がもしかして死の外科医……えーっとローだっけ?」
暫くその本を睨みつけていると、何時かの妖精に似たような奴が現れた。
妖精はローの視線に気にすることなく光っている本を取り出すと、返事を待たずにそれを差し出してきた。
「はい、これは君の連れがよく知っている妖精からの贈り物だよ」
妖精の言葉に一瞬何のことかと思ったが、ユーリと時々話していたあの妖精を思い出した。
「…物を贈られる覚えはないが」
ローは怪訝な表情で差し出された本を見た。あの妖精に何かしてあげたとすればユーリだろう。
というかこんな怪しい本を受け取りたくなかった。
「あー因みに君の連れにもちゃんと本を贈っているから。絵本だけど」
ローの心中を悟ってか妖精は詳細を話し始めた。
なんでもこの本に書いたものは永遠に忘れないとか。
医者を目指すローには丁度いいんじゃないと例の妖精が勝手に決めて持ってきたらしい。
しかもページは無制限ときた。書く作業さえちゃんとすればこんな便利な本はないだろう。
因みに最初この本をユーリが図書館で取ろうとしたので慌てて消したとか。