第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ユーリが不思議な絵本と出会っていた頃、ローは図書館で本を読んでいた。
明日には港に着くので、できるだけ多くの本に目を通しておきたかった。
そしてあの男が言ったように欲しい本は遠慮なく頂くことにした。
船のスタッフに欲しい本を片っ端から伝えていき、とりあえず住所はフレバンスの例の病院があった場所を指定し一か月後に送ってもらうことになった。
スタッフの人もフレバンスと聞いて変な顔をしていたが、1か月以内には復興する目途が立つだろうと話して納得してもらった。
(……これは駄目だな)
ローは読んでいた本を閉じると別の本を探すために席を立った。
流石珍しい本が多く揃えていると噂があるだけに、本の質はよかった。
しかし全てが良いというわけではなくはずれの本もあるので、3日という期間で興味のある本を探していくのも中々に骨が折れた。
「……」
ふとローが本棚の間を歩いていると、視界の端に一瞬光が見えた気がした。
視線を向けると、光っている本が一冊だけ他の本の間に挟まれていた。
ローは眉間にシワを寄せ、暫くその本を眺めていた。
どう見ても怪しすぎるその本に、警戒心を露わにしても仕方ない。