第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「そういえば、この絵本の終わりってどうやって決まるんですか?」
ユーリは絵本を捲りながらふと気になったことを尋ねた。
「物語の終わりなんて人それぞれだよ。君が終わりと思ったら終わりなんじゃない?」
「なるほど……しかし彼女はなぜこれを私に…」
ユーリは絵本を閉じると興味深そうにその表紙を見た。
「うーん。よく分からないけど、彼女は君の物語が好きなんじゃない?彼女は途中までしか見れなかったけど、きっと最後まで見たかったんだよ思うよ」
妖精の言葉にユーリは分かったような分からないような、そんな感じだった。
もしそれが本当なら、この物語が出来上がった時に彼女はまた会いに来てくれるのだろうか。
考えたところで答えは見つからないが、考えずにはいられなかった。
「じゃぁ渡したからね。僕は帰るよ」
「あっ、わざわざすみません、ありがとうございました。どうかお気をつけて」
妖精の言葉にユーリは慌てて礼を述べると、妖精は消えていった。
「私だけの物語……か」
ユーリはベットに横になると、暫くその本を眺めていたのだった。