第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
初めて与えられた快感の種類に、ユーリは暫くぼーっとしていた。
そして突然ローから抱きしめられたのでユーリも思わず抱きしめ返したが、その瞬間盛大に腹の音がなった。
「……」
「……」
暫くお互い無言で抱きしめていたのだが、ローはため息を吐くとユーリを解放した。
「おまえ、さっき大量に食ってたんじゃないのか?」
「…うん、食べてた。きっとあれだ、糖分だから消化も早いんだ」
ユーリは別に腹が減っているわけでもないので、勝手にそう納得し特に気にしていなかった。
「…はぁ」
雰囲気を壊されたローは何か言いたげだったが、諦めたのかベットから降りた。
そしてユーリを抱き上げると、そのまま一緒に風呂に入ることにした。
「ローの刺青っていつ入れたの?」
二人はそれぞれ身体を洗い終わると、一緒に湯煎に浸かっていた。
流石豪華客船なだけあって、船の中にも関わらず風呂も広かった。
最初ユーリは離れて入っていたのだが、当然のようにローから引っ張られ、結局彼に背を預けるような形で落ち着いた。
いや、ユーリの内心は落ち着いていなかったが、いい加減慣れることにした。
「さぁ…覚えてねぇな」
ローは昔の記憶を辿ったが、はっきりいつ入れたのか思い出せなかった。
一度に入れたわけではなく、段階的に増えていったのでその辺の記憶が曖昧だったのだ。