第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「…ローの優しい基準て何?昨日までのやつなの?」
ユーリは呼吸が整い始めると、頭が少し冷静になってきた。
なんとなく分かってはいたがきっとそうなんだろう。
「…逆に聞くが、おまえの優しい基準は何なんだ?」
ローは気をそがれた為一度ユーリから己のを引き抜くと、仰向けにしてその瞳を覗き込んだ。
「…ゆっくり、相手を労るような…イチャイチャと…」
「それを海賊のおれに言うのか?」
「えっ、海賊は関係なくない!?海賊以前に恋人…いや夫婦だよね!?相手を思いやるくらい普通にしないの!?」
ローが呆れたように言うが、ユーリの方こそ呆れていた。
なんて奴だ、唯我独尊・自分勝手・鬼畜ドSの3拍子が揃っていると思っていたが、まさかここまでとは。
ユーリはため息を吐くと、今後のお互いの為にも話し合う必要があると思った。
「今後一緒に暮らしていくなら、この課題は由々しき問題だ。流石の私もキレるぞ…てか毎回キレてやる」
「別におれは今まで通りでいいんだが」
「そりゃローは好き勝手してるからいいと思うかもしれないけど。私が駄目だから問題になっているとなぜ分からない」
「……それを言うなら、おまえだっておれを煽ってる時もあるだろうが」
「うっ、それは考え直します。だから今後の方針を変えましょう」
「別に変えなくてもこのままでいいだろ」
ユーリから誘ってくれたり積極的に来てくれるのは、寧ろ望んでるところだ。
だからわざわざそういった行動を止めようとするのは、正直意味が分からなかった。