第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
そしてユーリはと言うと、大通りに出て数分も経たない内に女性たちに囲まれた。
最初は驚いて逃げていたのだが、だんだんチヤホヤされるのが嬉しくなったのか満更でもない対応をしていった。
完全にローへ仕返しをするという使命を忘れてしまっていたのだ。
「お兄さんの瞳、超綺麗。ねぇねぇ今夜暇でしょ?」
「何言ってるのよ!彼は私とこれから一緒に過ごす予定なのよ!」
「いやぁ君たち皆可愛いから選ぶなんてできないよ」
なんともデレデレとユーリが対応していると、ものすごい殺気を背後から感じた。
その殺気に驚いて振り返ると、なんとローがこちらを見ていた。
(ああああ!忘れてた!!超忘れてた!どうしよう折角ここまで準備したんだからしっかりやらないと!)
ユーリは一瞬顔を引きつらせると、待ち人が来たと言って惜しむ彼女たちからなんとか離れた。
ユーリはゆっくりとローへ近づいて行った。
なんだか痛いほどの視線を感じるので、まさかバレてるのかと焦ったが、どうやら違うようだった。
「やぁ、ちょっといいかな?君が探している人物に心当たりがあるんだが」
「……誰だてめぇ」
ユーリの言葉にローは反応した。
スキャンが彼をさしていることが何を意味するのかは分からない。
もしかしたらこの男は悪魔の実の能力者なのだろうか。
湧き上がる疑問が消えることはなかったが、付いてきなよというこの男に今は従うほかなさそうだった。
変な真似をすれば切り刻めばいい、そう思っていたのだ。