第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ユーリから呼び止められたイワンコフは、不審そうな表情をしていた。
しかし話を聞くと面白いと思ってくれたのか、快く協力してくれることになった。勿論有料で。
ユーリはお金ならそれなりにあったので特に問題なかった。
「じゃ、いくわよ?」
イワンコフの声と共にホルホルの能力で注射針を刺されたユーリは、みるみる男になっていった。
もちろん人気のない場所で行われたのだが。
「あら~?超イケメンじゃない」
なんだか語尾にハートマークがついてそうな勢いで言われたが、自分じゃ見えないのでどうリアクション取ればいいか分からなかった。
そんなユーリに気づいたのか、イワンコフは鏡を貸してくれた。
「……お、おぉ」
ユーリが鏡を見ると確かにそこにはイケメンがいた。
肩まであった白い髪は綺麗にウェーブが掛かり、腰まで伸びていた。瞳はオレンジ色のままだが、切れ長の目は鋭さがあり美しかった。
身長も恐らく180cmは超えてるだろう。そして声も低くなっていた。
どちらかと言えばイケメンというか中性的な美人なのだが、これならローを騙せるかもしれないとユーリは大満足だった。
しかし唯一残念なのは服装だろうか。
変な文字の掛かれたTシャツはピチピチだった。
それはイワンコフも思っていたようで、イケメンなのが気に入ったのか服まで用意してくれた。