第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ユーリは船から降りると驚いているクルー達の声を振り切って夜の街へ消えていった。
そして程なくして現れたローにクルー達はユーリが消えていった方向を教えると、彼もまた舌打ちをして姿を消したのだった。
「なぁ、おれらどうする?」
「どうするもなにも、あの船じゃもう駄目だろ」
ペンギンは大破した船を見てそう呟いた。
とてもじゃないが、寝れる状況ではなさそうだ。
この際船が大破したのは構わないが、ユーリとローがまだ仲直りしていないようなのでそっちをどうにかして欲しかった。
折角地雷原であるシュライヤと決着がついたようなのに、まだ喧嘩中とはどういうことだ。
どうせどっちかがまた余計なことしたんだろうと思うのだが、さっさと仲直りしろと言いたい。
さっきユーリが微妙に泣いていたので、恐らくキャプテンのせいだと思うが。
「はぁ、どこかホテルに泊まるしかないな」
「そうするか。ということで取り合えず朝まで解散なー!費用はキャプテン持ちで!」
船長のいないところで勝手に決めたが、被害を被っているのでこのくらいは大目にみてもらいたい。
どうせ金は腐るほど持ってるんだから、このくらいの腹いせはなんとでもないだろう。
そしてその声を最後に、クルー達はそれぞれ夜の街を楽しむためにその場を離れたのだった。