第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ユーリが恥を忍んで能力を発動させようとした時、ローが戻ってきた。
「んー!!」
目は見えなかったが雰囲気でローだと分かり、ユーリは早く外せと全身で訴えた。
そしてローはなんとなくユーリの言いたいことが分かり、拘束を解いてやった。
「悪か「トイレに行きたい!」
ローが謝罪の言葉をするより早く、ユーリは起き上がると必死の形相で訴えてきた。
ローは一瞬目を見張ったがさっさと行けと言った。
しかしユーリは一歩でも動こうなら漏れる所まできていたので、シャンブルズでトイレまで移動させろと要求した。
「……」
そんなユーリの言葉にローは一瞬考える素振りを見せたかと思うと、徐にシーツごとユーリを抱き上げた。
そして何か文句を言っているユーリを無視するとトイレまで連れて行ってやった。
もちろんクルー達は避難しているので途中で会うことはなかったが、そんなことを知らないユーリは石のように固まっていた。