第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「……はぁ」
いや、本当はもうこの戦いに意味がないことは分かってた。
元々二人の間に何もないことは分かっていたし、なんだかんだで目の前の男に助けられたのも事実だ。
ローは舌打ちをすると、鬼哭を消した。
「………悪かったな」
「…は?」
突然のローからの謝罪の言葉に、シュライヤは一瞬状況が理解できなかった。
おまえその言葉の意味知ってるのかと言いそうになったが、これ以上墓穴を掘るのは止めた。
「……あぁー、とにかくユーリとちゃんと仲直りしろよ?あいつもタフなようで繊細なところもあるから」
これ以上墓穴は掘らないと決めたばかりだったが、なんともきわどい発言をしてしまった。
シュライヤはまたミスったと思ったが、ローから攻撃が飛んでくることはなかった。
「てめぇに言われる筋合いはねぇ」
ローは眉間にシワを寄せ、シュライヤを睨んだだけだった。
「はいはいそうですか。じゃぁ俺はこれで帰るから後は仲良くしてくれ」
シュライヤはこれ以上ここにいたら身が持たないと、さっさと姿を消した。
そういえばバーでの代金を請求し忘れたが後で多額に請求してやると思い、夜の街へ消えていったのだった。
そしてローは暫くシュライヤが消えていった方向を睨んでいたが、身を翻しユーリの元へ向かった。