第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ユーリが葛藤している頃、シュライヤとローはまだ争っていた。
船の外観はほぼ大破しており、二人もそれなりに傷を負っていた。
シュライヤの能力はローほど威力はないが、斬るのは難しい。
そしてローも、シュライヤの攻撃をなんなく避けてくる。
だから余計に長引いていたのだ。
「いい加減にしろよ、まだ何か気に入らねぇことでもあるのかよ」
シュライヤはユーリがどうしてるのか気になっていたので、いい加減この無駄な争いを終わらせたかった。
そしてそれはローも同じなのか、二人は一度距離を取ると攻撃を止めた。
「そうだな、おまえが死ねば少しは怒りも収まる」
「だーかーら!それで、はいそうですかって死ぬわけねぇだろ!」
シュライヤはローの言葉に思いっきりため息を吐いた。
「もうこんなどうでもいい争いやめようぜ。いい加減疲れてきた」
シュライヤは能力を解除すると両手を上げて戦う意思がないことを示した。
「……」
流石のローもそこで斬りつけるようなことはしなかったが、その表情はまだ納得しないようだった。
一方的に戦いを終了されれば怒りの矛先はどこへ向ければいい。