第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
二人の争いが始まりユーリは揺れる船内に何事かと思ったが、今はそれどころじゃなかった。
(ロー!早く戻ってこの拘束を解け!さっきからトイレ行きたくて我慢してるがもう限界だ!)
バーでユーリが逃げるためにトイレに行こうとしてたが、実際に行きたかったのも事実だ。
しかし気づけば拘束されトイレに行きたいと言う前に口を塞がれて、更には放置ときたもんだ。
追い打ちを掛けるように媚薬の効果にも襲われ、最早何が何だか訳が分からない状態だ。
最初の段階で言えばよかったんだが、とても言える雰囲気ではなかった。
そしてプライドと根性でなんとか我慢していたが、そろそろ限界がきたのだ。
(ここで漏らすようなことになればもう生きていけない。露出魔に引き続きお漏らしなんて、最早ただの変態ではないか)
ユーリはガチャガチャと拘束具を取ろうと必死に動いた。
トキトキの能力があれば一発で解決するのに、今の能力ときたらまるで役に立たない。
一瞬再生の力ってことは尿意も消せるのかと余裕のない頭で謎な理論にたどり着いたが、無理だった。
もしくは一回シーツに漏らしてしまったとしても再生で戻せるのかと下品な考えも頭をよぎった。
(いやいや戻すって何!?また私の体内に戻すの!?うぁぁぁもう意味が分からねぇ!!)
ユーリの頭は混乱を極めていた。
(そもそも再生ってなんだよ!巻き戻しなの!?誰か教えてくれよ!じゃないとここで試すことになる!)
ユーリは記念すべき一回目の能力をこんなことに使うべきか迷っていた。
そしてこんなことならもっと早くに能力の使い方を検証しとくべきだったと後悔した。