第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「あぁ、そういえばユーリに触れたらしいな?」
「はぁ?」
シュライヤは一瞬なんのことだと眉をひそめたが、一つだけ心当たりがあった。
「あぁー、あれはユーリが死ぬかもしれないと思って心配して抱きしめただけだ。別に何もねーよ」
「そうか、じゃぁ死ね」
「意味分かんねーよ!どんだけだよ!」
ローが鬼哭で薙ぎ払ってきたのでシュライヤはそれを避けつつ、言葉を続けた。
「だいたい俺の仲間には女もいるから、ユーリはほとんどそいつらと一緒にいたぞ!俺はトキトキの能力を狙ってくる奴らの始末でそれどころじゃなかったからな!」
「……」
二人の戦闘が始まり、クルー達は早々に船から降りて避難していた。
荒れていく船に恐らくもうこの船で航海はできないだろうと、どことなく遠い目で見ていた。
しかし取りあえずはこの争いが早く終息してくれることを願ったのだ。
「久しぶりに会ったとしても二言目にはおまえの話だ!おまえが無事か何しているか知らないかと聞いてくるもんだから、気を利かせておまえのことも調べてやってたんだぞ!」
「ストーカーかよ」
「てっめぇ!まじぶっ殺すぞ!」
今までシュライヤが一方的に攻撃を受けてるだけだったが、遂に我慢の限界が来たのかシュライヤもキレた。
そして沸き起こる強風に船は更に荒れていったのだ。