第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「……っ!?あっぶねぇな」
シュライヤが扉に手を掛けようとした時、時空が歪んだ気がしたので咄嗟に飛びのいた。
案の定目の前に鬼哭を構えたローが現れて、あと一歩遅かったら斬られていただろう。
「わざわざ殺されに来たのか?」
ローの挑発するような笑みにシュライヤは頭をガシガシと掻くと、慎重に言葉を選んでいった。
「いいか、俺とユーリは何もない。あの一年間ユーリが思っていたのはてめえだけだ」
「そんなことは知っている」
「はぁ!?じゃぁ何が気に入らないんだよ!?」
「てめぇがユーリを連れ歩いてたことだ」
「だから!それはあいつの身を守るためにやってたことだ!当時のあいつの能力知ってるんだろ!?」
「ならさっさと詳細を話しておれに預ければよかっただろ」
「それが出来たら苦労しねーよ!」
どんだけだよとシュライヤは内心愚痴った。ユーリの命を掛けた決意をなんだと思ってやがる。
まぁこの男も流石にそれは分かってるだろうが、無理難題を押し付けて当たり散らすのは止めてほしい。
10000歩譲って無理やり連れだしたことは謝ってもいいが、ユーリだけではなく、なんだかんだでローも助けてやったんだ。
感謝こそされど殺される筋合いはないのだ。