第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
ジャラ
上に乗り上げてきたローとファイティングポーズをとっていると、どこから取り出したのか手錠で両手を拘束されてベットに繋がれてしまった。
「んん!?」
更に驚いているユーリに追い打ちを掛けるように今度は目隠しのようなもので視界を塞がれた。
「ちょ、ちょっとまて、落ち着こう」
ユーリは顔を引きつらせながらズルズルと上の方へ逃げた。
しかしそれもローに足を掴まれて引き戻された。
「手足を切り落とさなかっただけマシと思え」
「え、マシってそんなレベル!?なんて物騒な考えを持っているんだ」
恐らく能力を使って切り落とすんだろうが、どこまで本気か分からないローの言葉にユーリの引きつった顔は戻らなかった。
「勘違いしてるみてェだが」
ローは買ったばかりの黒のワンピースを引き裂いた。
「無事に何事もなくここから出れると思うなよ」
そう呟くローの表情は見えないが、声だけで相当な怒りを感じた。
さっきまで普通?に会話できてたので忘れかけていたのだが、恐らく今のローは過去最大に怒り狂ってるかもしれない。
自分のことを棚に上げやがってと思ったが、今のローに何を言っても無駄だろう。
ユーリが過ごした1年間なんてローに比べれば随分清いものだ。
確かに振ったのはユーリだが、ちゃんと理由があったのでお互いチャラにしてもいいんじゃないだろうか。
しかしそれができないのが彼なのだろう。
更にはユーリが馬鹿正直に、触れられたことはあると言ってしまったようなものだから最早収集がつかなくなっている。
もしかしたら、ローはユーリがまだ隠してることがあるんじゃないかと疑っているかもしれない。