第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「あの野郎に何かされてねぇだろうな?」
ユーリを疑っているわけではないが、1年という期間は十分に長すぎる。
その間あの男がユーリに好意を持っていたのは、言われずとも察することができる。
仮にもあの男も海賊だ。ローがやったように無理やりも十分ありえる。
「何もないですよ。1年間はずっとローのことしか考えてないです」
ユーリのはっきりとした口調は嘘を言っているようには見えなかった。
まぁ二人のやり取りを見て、無理やりはないとはなんとなく分かってたけど。
「……触れられてもいないのか?」
「……」
ローの言葉にユーリはそうだと即答しようとしたが、ふと別れるときに抱きしめられたのを思い出してしまった。
あれが触れられた内にカウントするか分からなかったが、ユーリは一瞬返答に詰まっしまった。
「……そうか」
どうやらユーリの沈黙を悪いほうに受け取ったようで、ローの雰囲気が変わった。
変わったといっても最初から最悪なのだが、馬鹿正直に返答に困ったユーリは後悔した。
「……ローだって他の女性と関係もってたよね?」
「おまえが盛大に振ってくれたおかげでな」
「いや、まぁ、そうなんだが。え?これって私が悪いの?」
ユーリはいい加減掴まれていた場所が痛くなってきたので、ローの手を外しにかかった。
しかし予想通りというか外れず、逆にそのまま後ろに押されベットに倒されてしまった。