第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「あっ、私ちょっとお手洗いに…」
ガシッ
ユーリが席を立とうとした時、ローに思いっきり腕を掴まれた。
「なんでって……そりゃあの後、一年ほどユーリの身を守っていたのは俺だからな」
ユーリが青ざめて逃げようとしているにも関わらず、シュライヤは今までの恨みも込めてるのか暴露してしまった。
ピシッ
その瞬間、バー全体の空気が凍り付き更には割れたような幻聴まで聞こえてきた。
「……へぇ?」
地を這うような声が響いていき、流石のシュライヤもミスったと後悔した。
ローの怒りを買うのは別に怖くないが、その矛先がユーリに行くのは望んでいない。
シュライヤは慌ててフォローを入れようとしたが、一瞬で2人の姿は消えてしまった。
「……やばいことしちまった。助けに行ったがいいよな?てかここの代金俺が払うのかよ」
シュライヤは唖然としていたが、渋々と代金を払い慌ててローの船を探しに向かったのだった。