第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「あっ、じゃぁローの病院内で人の治療と物の修理で部屋を分ければいいんじゃない?そうすれば、空いた時間は出来る範囲でローの手伝いをするよ」
ユーリの提案にローは一瞬考える素振りを見せたが、一人で店を開いたり家にいるよりはよっぼどいいんじゃないかと思った。
一番いいのはローと同じ仕事をすることだが、いい加減そんなこと言っているとキャプテンどんだけだよとクルー達の突っ込みが聞こえてきそうなので諦めた。
部屋は違うが同じ建物内にいるなら何かあればすぐに駆け付けることができる。
日に日に増していく過保護さと独占欲に最早ローも苦笑するしかなかった。
そしていい加減ユーリに愛想付かされる前に冷静にならねばと思いつつ、酒を飲んでいた。
ユーリも結構飲んでいるのだが、あまり酔っていなかった。
飲んでいる酒の度数が高いのを知っていたので、酒に強い体質なのだろう。
それはローにも言えることなのだが、ユーリの場合変に酔って周りに愛想振りまかれるより全然よかった。
そんなことしたら、折角冷静になろうとしているローの決心も一瞬で吹っ飛んでしまう。
カランッ
しかし乱立したフラグは回収されるものなのか、ローが落ち着きを取り戻したころで1つの嵐がやってきた。
静かにバーの扉が開かれる音が聞こえた気がするが、気にすることなく2人は会話を続ける。
「……ユーリ?」
そう呟かれた声にユーリが振り向くと、そこには驚いた顔をしたシュライヤが立っていたのだった。