第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
場面は最初に戻り二人はあの後、日も暮れてきたので船に帰るかこのまま街で食事をするか悩んでいた。
そして船に戻りたいローと街で食事をしたいユーリで対立し、ローが再びおれたのだ。
しかしガラの悪い人間が集まる酒場は却下して、それなりに落ち着いた雰囲気のバーで手を打った。
ローより人相悪い人は早々いないと、なんとも失礼極まりない言葉を吐くユーリの頬を抓ってやると、近づいてきた店のマスターに適当に酒と食事を頼んだ。
二人はカウンターしか空いてなかったのでそこに座ったのだが、ユーリは足が地面に届かないしイスに座るのも微妙に苦労していたようで、少し笑ってしまった。
そんなローを見て、またローの足を見てなんとも言いたげな表情をするユーリだが、勝てる勝負でもないので諦めて何も言わなかった。
「さて、これからどうしようか?」
酒が来て適当に乾杯をすると、一口飲んだユーリが徐に口を開いた。
一瞬今夜のことかと思ったが、たぶんこれから先の旅のことだろうと予想をつけた。
「どこか行きたい場所はねェのか?」
ローは頃合いを見てハートの海賊団を解散させてもいいだろうと思っていた。
目的も果たしたし、冒険好きでもない限りこれ以上危険な航海を続ける必要はない。
だから解散した後は、ユーリと二人で適当に旅をしてもいいし、どこかに定住してもいいと考えていた。
まぁまだ冒険をしたいとクルー達が言うのであれば話は別なのだが。