第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「私は守られるより守りたい派なんです!だから捕らわれのお姫様は大人しく私に守られてくださいね」
「…嫌味かよ」
ローはつい最近まである意味捕らわれていた時の状況を思い出した。
しかもユーリの言う通り助けられたのだがら、まったく反論もできない。
「今度から姫役はてめぇがやれ。そんで大人しくスカートでもはいてろ」
しかし、今のユーリの能力は戦闘向きではない。
なのでローが今後ユーリを守ることになるのが自然な流れはなずだが、彼女は全然分かってない。
その内自分の能力を勝手に開発して戦闘に参加してきそうなので、ローはそっとため息を吐いたのだった。
世間一般的な考えは分からないが、普通女性と言うものは守られたいものじゃないのだろうか。
まさかこいつは内心男なのかと、混乱する頭でそんな考えにたどり着く始末だ。
「うーん、スカートは風が吹いたら落ち着かないというかなんというか…」
まだ何か渋っているユーリだったが、ローはさっさと行くぞと手を掴み店を後にした。
ローの表情は相変わらずというかいつもより少し険しく見えたので、ユーリは慌てて大人しくついてきた。
ユーリが悪いわけではないが風という言葉であの男を思い出し、腹が立ったのも事実だ。
久々のヒールで少しふらついているユーリに歩調を合わせてやると、そのくらいで怒っていたら身が持たないとローは考え直していった。
そして軽く息を吐くと、そういえばお金と言ってくるユーリを適当に流し、違う話題を振ったのだった。