第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「あぁ、そうだった能力者は能力者でも海が駄目なほうだった」
そして回収後は砂浜で落ち込んでいたユーリだが、目の前に歩いてきた蟹にすぐ興味の対象が変わった。
なんか頭にワカメが乗っているにに気づいているのかいないのか、その姿のまま蟹を追いかけ始めたのでローが捕獲した。ユーリのほうを。
「もう突っ込みきれねぇから取り合えずその姿をどうにかしろ」
そういってローに連れていかれたのはお洒落な洋服屋だった。
幸い髪はそこまで濡れなかったので、適当に店の人に服を見繕ってもらいユーリを預けるとローはその辺のイスに座り待っていた。
その間女性からの視線もチラホラあったのだが、場所が場所なだけに誰も話しかけてこなかった。
そして数十分後、ユーリが戻ってきた。
「スカートとか敵が来たら邪魔じゃないですか」
そう文句言いながら現れたユーリは、見事に良い意味で化けていた。
そもそも元の素材はいいのだが、如何せんローと出会ってから着ていた服は全部ズボンだった。
それを勿体ないと、麦わら一味の女性陣に言われていたような気がする。
しかしナミから服を借りるとき選んだのはズボンだった。
上着はそれなりにましだったがローが破いてしまったし、その後ユーリが自分で服を買ってきたのは変な文字の書かれたTシャツと相変わらずのズボンで、更に状況が悪化していた。
別に服装まで口出すつもりはないが、折角の機会なのでまともな服を着てもらうことにしたのだ。